今月の田舎モン!は、檜原村の田丸光起さん。

今月は、東京都檜原村にお住まいの田丸光起さんにお話をききました。

 

こんにちは、皆さんお元気ですか?
花粉症の時期になってまいりました。

花粉症と林業、関係しているの知っていましたか?
林業の衰退とともに荒れた山が増え、その山からやってくるのが…。花粉…。

3月の田舎モン! は、花粉症に悩む方は特に必見です。
日本の林業の現状を学ぶのも、花粉症対策の一つかも?

さて、このコーナーでは毎月1名ずつ、田舎で暮らしている人にフォーカスをあて、
実際の田舎暮らしの「ホントの話」をうかがっていきます。

毎回、色んな人に登場していただいていますが、それぞれにストーリーがあり、
編集部も楽しみなコーナーになってきています。

今回お話をうかがったのは、ECOFFスタッフでもあり、
最近話題の東京都檜原村(ひのはらむら)で林業に従事している田丸光起さんです。

今週からは、ECOFFの宮坂と田丸さんの対談をお楽しみください。

 

 

そもそも林業って?

宮坂林業とは?
田丸は林業をしているということだけど、東京都で林業している人はそうはいないと思う。
そもそも林業とは?

 

田丸
林業ですか。
究極的なところをいうと木を売ってお金を得るということではないでしょうか。
木を売って生業をたてると。

 

宮坂
木を売るといっても、そもそもどんな木を売っているのか皆わからないと思う。
木を切るというのは、田丸の場合は木を切って運ぶだけ?
それとも加工まで?

 

田丸
東京チェンソーズの場合は、木を育てるという仕事を中心的にやっています。

 

宮坂
切っているだけじゃなくて、木を育てる。

 

田丸
そうなんですよ。
けど、まだその木を売るというところまで自分たちはまでできていない。

木を売るといっても木を植えてから収穫するまでには
50〜60年のスパンがいるわけであって、
植えればその年に収穫できるというものではないんで、
基本的にはその50〜60年の長い間に誰かしらがその木を手入れしないといけないんです。

今は、主に東京都や檜原村の所有山林や、個人の山主さんの山林を手入れしています。

 

宮坂
木の手入れをするのがメインの仕事?

 

田丸
現状としてはそうですね。

 

宮坂
最終的には木を自分たちで売るところまでやりたい?

 

田丸
そうですね。
木を搬出して市場に出すというのは、重機が必要だったり、
大きなトラックが必要だったりと、
ある程度、資金力のある事業体である必要があるんです。

今は木材の材価も今までほど高くはないから、
まとまった量の木をコンスタントに出荷し続けないといけません。
今は、育林作業をメインにやっていますが、将来的には出荷まで携われるようになりたいですね。

 

宮坂
でも結局今自分たちが育てている木はたぶん自分たちの代では出荷できない?

 

田丸
おそらく、できないものもあるだろうし、
実際自分たちが手入れに入っている山の中で
「これ出荷できるのにな」っていう木を切って
そのまま山に置きっぱなしにするという現状もなくはないです。

 

宮坂
木を置きっぱなしにするというのは?

 

田丸
そういうのを、切り捨て(切り置き)間伐というんですが、
たとえば最寄りの林道から歩いて30分だとから40分だとか、
要は木材を搬出するために地理的にデメリットな場所が多々あります。

本当は市場に出せばお金になるかもしれないけど、運ぶための手間賃だとか、
運ぶために距離が遠いとなると、間伐はしないといけないけれど、
使ってくれる人の手に届かない木材もでてくるわけです。

 

宮坂
なるほど。

 

田丸
(木自体は)あるんですよ、実は。

 

荒れていく山

宮坂荒れていく山
間伐材は、切ってそのままにしてしまう場合と、出荷する場合と2パターンある?

 

田丸
そうですね。
間伐材で利用できるもので市場に出てくるものはわりかし、
そういう搬出のための環境が整備されています。

人が歩いてしかいけない場所にある間伐材は基本的には
山にそのまま置きっぱなしにされるという現状です。
どこの都道府県も同じだと思いますけど。

基本的には間伐材も使われるものと使われない物はあります。
使われないものの方が相対的には多いと思います。

 

宮坂
その使われない物っていうのは、山に放置されて何かの役には立つ?

 

田丸
等高線上に横に倒します。
そうすると表土が流れてくるのを防いでくれるので。
そういった目的はありますが、出せるなら出したいです。

 

宮坂
切ったらそれで終わりだけど、出せばお金になるから。

 

田丸
そうですね。
今は土に返して肥やしにするしかないです。

 

宮坂
間伐はしないといけない。
だけど間伐してもお金はもらえない。
政府からお金はもらえるかもしれないけど、それは性質が違う。

もし間伐してもお金がもらえないなら誰も間伐しないよね?
でも間伐してそれを売ればお金になるならみんな間伐する。

 

田丸
そうですね。
やっぱり皆、切るだけでお金にならなければなかなか…。
山のことを思って間伐する人はごくごくわずかで。

やっぱりお金にしたい。
まあ、もともとそういう目当てで木を植えたわけですから。

なんで現状そうなっているかというと、一つとしては、
昔はそれでも一人1日一本山から木を担いで降りてくれば、
その日のその人の日当になっていたというくらいですから、
どれだけ遠く離れた山でも1本出すだけでも相当なお金になったわけですよ。

 

宮坂
価値があったんだ。

 

田丸
そうなんですよ。
逆に言えば今の木材価格って世界的にいうと平均価格に
だんだんだんだん足並みを揃えてきたという状況なんです。

いままでは林業バブルだったんです。
その感覚で木を植えてきているから。

要は多少離れた山でも植えればお金になると思っていたんですけど、
だんだん適正な価格に推移していくことによって
昔の林業のやり方ではあわなくなってきました。

その当時の時代背景としてはそれでも林業が成り立つはずだったんだけれども、
いざフタを開けて現代になってみたらそれでは採算が合わなかったんです。

 

宮坂
なんで林業バブルがはじけた?

 

田丸
うーん。
それはたぶん、ぼくの知っている限りではTPPと一緒で、
林業も戦後早い段階で関税を撤廃して外材をどんどんいれはじめたんですよ。
やっぱり安い木材のほうが市場に出回るし、海外の木材は大径木が多く、量的にも安定しているというメリットがあるんです。

わりかし原生林から持ってきたような木が多かったので。
材料的なメリットもあって外材の方が強かったというのもありますし。

あとは、日本人の住環境が従来の日本家屋の住み方から
西洋的な家の立て方にかわってきて…。

たとえば今の日本人が床の間をつくるかといったら作らないですよね。
掛け軸とか置いたり、そういう床の間は今の若い人たちとか
今から家をつくろうという人には必要不可欠なスペースではなくなってきているんですよ。

日本の林業はそうやって柱にしても節のないいい木材をつくろうという感じで作ってきたり、
もともと日本の建築のなかで使う木材を基本的には生産してきたので、
需要と供給に差が出てきたというか。

そういうところから「本当はこれぐらいいい木を作ったんなら、
これくらいの価格でこういう家に使ってほしい」というところが、
木を使う人たちの住み方が変わってきたから
「そんな木じゃ高すぎるよ」というふうになってました。

「今こういう部屋つくんないからこういう木はいらないよ」
っていうのがでてきちゃったから、
林業バブルがはじけてきたんですよ。

 

宮坂
需要がなくなったのと、外国の安い材が入ってきたことによって
林業バブルが弾け、助成金でないと間伐材を出せないと…。
あ、そもそも林業バブルがあったから、間伐材を出せないようなところにも木を植えたのか。

 

田丸
そうなんですよ。

 

宮坂
一種のブームだったんだ。

 

山のオッチャンたちは60年先を見越していた?

田丸山林
そこが林業の難しいところで。
60年先の収穫を見込んで木を植えないといけないというのは…。

経済学者も10年先の経済は読めないわけですから、田舎に住んでいるオジサンたちが
60年後の需要を見込んで木を植えていたかというと…。

やっぱり、そこは難しいところなんですよね。
もうちょっと柔軟に、常にニーズは変わるものだと考えて
山づくりをしないと、本当はダメなんでしょうね。

ある意味ブームだったんですよ。日本の林業自体が。
だからみんなそれに乗ってしまったんではないでしょうかね。

 

宮坂
逆にいうと、そういうブームがあったから今の日本の山に緑が多いのも事実?

 

田丸
そうですね。
これだけ一生懸命植林して、日本中にスギやヒノキが植わっているというのは、
みんな山に対して熱心だったということだと思います。

日本人の生活に木と関わりながら生活してきたという文化的な側面もあると思いますけどね。
今となっては工芸品とよばれるものたちですけど。

 

宮坂
昔は工芸品じゃなかったわけだ。

 

田丸
そうですね。
昔は木を本当に一から十まで使い尽くすための技術だったものが、
今工芸品になっているものなわけで。

昔はそういう要らない部分も使おうと言って使っていたものが、
そういう日本人の昔からの関わり方というか、賢さというか、
そういうのはあったでしょうね、きっと。

 

宮坂
昔の人はなんでも全部つかう。
ところが今は端材とかは使われない。

 

田丸
そうなんですよ。
昔の日本人は60年間育ててきたもんだからちゃんと無駄なく使おうという。
育ててきたスパンを身にしみていますから、きっと。
だから無駄には使わないし。というところはありますよね。

戦前も林業はおこなわれてきたと思うんですよ。
でも戦後やっぱりそういう日本の政策で経済に、なんというんだろう。
歩幅を合わせた林業製作がもしかしたら行き過ぎていたのかもしれない。
その気はしますけど。

 

宮坂
なるほど。
林業というのは非常に難しい職業だと。
農業ですら考えても、次の年に何を植えるかとか、何年後に休耕するかとか、年単位。
林業は何十年単位だから、でも一方で今は
一年もたたずにどんどん新しい製品が作られるという時代。

 

田丸
まあでもそう考えると木の需要は常にないとは思わないんで。
今でもそうやって間伐材の家具だったり、
そういったところで環境とかっていう側面もあるし「エコ」っていう言葉もあるし。

要は売り方なんだろうなと思いますけど。

だから結局山をやる人も今まではそういう職人的な仕事だったわけですよ、林業も。
山の「きこり」という感じで。
でもやっぱり今からはそうやって林業をやる人も経営者的な視点で
どうやって木を売っていくかというのは考えないといけないのかなと。

 

宮坂
林業の六次産業化。

 

田丸
でもぼくは林業は二次産業と三次産業はいらないと思うんですよ。
やっぱり、いい山を作るためにはそういう、なんだろう、
利益とか度外視したほうがいい場合があるとおもうんですよ。

それが必ずしもいいかというと、いいとは思わないですけど。
現状としては林業はそんな感じです。

 

宮坂
ちょっと話していて思ったけど、そもそも今まで第一次、第二次、第三次って
うまい関係を保っていたのに、それが第三次産業の力が大きくなった。

それで力関係が変わってしまった。
だから第一次産業の人も力を付けるために二次産業、三次産業に手を出すという話。

それが、そもそもおかしな話だと思った。
うまくバランスを保って第一次産業の人はそれだけに専念していればいいと思う。
そこを第二次産業、第三次産業の人たちがうまく取り合うべきなのではないかと今思った。

 

田丸
それはけっこう、ごもっともだとおもいますよ。

 

宮坂
要するに新しい言葉っていうだけで。
そもそも企業は社会貢献的であるべきなのに、そうでなくなってきたから
「ソーシャルベンチャー」という言葉が出てきたのと同じで。
本当は新しい言葉は必要ないのでは。

 

田丸
たしかに。
本当にそぎ落としていけばどこかにたぶん該当するんだとうなと思いますけど。

最近きいた人の話だと、林業自体も戦後そうやって関税を撤廃したりとか、
林業も大規模化してやっていこうという流れのなかで、
国としては林業を一次産業から二次産業にしたかたっという思惑があったらしいんですよ。

今林業の現場で使っている言葉も、たとえば一人一日何立米っていって、
体積の数なんですけど、そうやって使っている言葉が工業化しているんですよ。

本当は一次産業は二次産業ではないはずなんだけども、
国の政策として林業を工業的に取り扱ったというところも。
ぼくとしては負の要素が出てきているのかなと思いますけど。



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田丸さんの働く東京チェンソーズが気になる方はぜひお読みください。 

いきなり林業の深い話から始まった今回の「田舎モン!」。
第3回めにしてなんだか、ものすごく教育的なコーナーになったような気が…。
次週もつづきます。

(取材:宮坂大智)