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別府⑦ 耕作放棄地は過疎の象徴かクリーンな土地か

牛の餌と牛肉の安全性には深い関係性があります。しかし、消費者は牛が何を食べているかを見極めることは難しいです。2日目に前述したとおり、消費者は脂身の多さや産地、価格等を見て購入します。今日は、牛と餌の関係性について考えていきます。

まず、和牛と国産牛は違うことを説明しておきます。和牛は黒毛・褐毛・無角・日本短角種の4品種のみに限定されています。これらはすべて純血個体でなければならず、食用肉としての品種改良が重ねられています。一方国産牛は、日本国内で生産された牛のことです。国内で3ケ月以上肥育されている牛はすべて国産牛となります。乳が出なくなった乳牛用の老いたホルスタインも、食用の国産牛となります。

牛1頭育てるのに5tの餌を必要とします。宝牧舎の牛は、乾牧草や稲藁、とうもろこしや大豆などを食べています。実は国産牛の多くは外国産の輸入飼料を食べています。日本はとうもろこしを輸入に頼っており、ほとんどを飼料として消費します。ということは、何かのきっかけで輸入が止まれば、牛を育てることはできないということです。また、とうもろこしをバイオ燃料として消費する動きが高まっているため、飼料価格は上がりつつあります。

日本の戦後農政は、主食であるコメの増産を優先し、大豆やトウモロコシなどの飼料作物は輸入依存を決断しました。80年代、自由化交渉を経て、いまや畜産や園芸作物の輸入が半分になりました。こうした状況の中で、高齢化や後継者不足による農業人口の減少により、耕作放棄地が増え、国内の農業生産が減少し、輸入への依存に拍車をかけています。

 今回参加している耕作放棄地を牧場に変える自然放牧は、この事態を突破する解決策のひとつであると考えます。さらに、耕作放棄地でとうもろこしなどの飼料を作ることができれば、より効率的です。耕作放棄地を有効活用することは、様々な社会的な問題を解決し、地域活性化や新たな雇用を創出することにつながります。耕作放棄地を過疎の象徴とするか、最もクリーンな土地として農業利用するかは、現代の私たちにかかっています。