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別府⑩ 当たり前のことに感謝

最終日を迎えました。シェアハウスメンバー、世話人の方、ECOFFの方、お世話になりました。

「知らない産業について知りたい」を動機に今回参加しました。牛肉がどのようにして、消費者に届くのか。その過程にはたくさんの人の知恵や苦労、エゴがありました。

耕作放棄地を有効活用すると、そこに雇用が生まれ、新たな経済活動が生まれます。その役割を地方創生に励む若者が担い、地域の方との交流を深めることで、地域が活性化していきます。そのためには働く場所や移住のための施設、地域と若者を繋げる役割などが必要です。もちろん若者に限らず、子育て支援を進めて家族世帯を呼び込む方法や、定年を迎え、新たな仕事を探している60歳代に移住してもらう方法もあると思います。どちらにせよ、多様な価値観の流入が考えられます。ダイバーシティを進めなければイノベーションは生まれません。性別や年齢関係、国籍は関係ありません(Day5)。

地域活性化とは別にもう1つの学びがありました。命についてです。私たちが頂く食べ物は命あるものです。当たり前のように食べている肉や魚は、なぜ毎日スーパーの棚に並んでいるのか。見えていないところで誰かがたくさんの命と向き合っている人がいるからこそ、私たちの命があります。そのことを忘れがちです。アニマルウェルフェアはあまり日本人には知られていません。それを良いことにか、行政は現状維持のままでいます。動物は植物と違い、他の動物の命を奪って自らの命を繋いでいきます。最後は人間が家畜の命を屠殺して命を頂いています。できるだけ苦しむことなく、ストレスを与えず屠殺することがベストですが、屠殺の失敗や、生産効率を上げるために不適切な方法をとっている場合もあるということを知っておく必要があります。

餌やりの際も、肥料撒きの際も、心を込めてしなさいと教えて下さいました。農業は単純作業が多いです。慣れてくると大切なことを忘れてしまうのは人間の悪い所です。餌も肥料もお金がかかっています。牛の命の源になります。

自然放牧は生産効率が悪いです。広い土地が必要で、地形は平坦ではありません。時間もお金もかかります。しかし、美味しい肉にするために、高く売るために、牛舎に年中閉じ込め、高エネルギーの餌を与えることが生産効率を上げる方法でありながら、宝牧舎は環境に優しい自然放牧という形をとっています。牛が耕作放棄地を歩き回り、草を食べ、糞尿を撒くことで、耕作放棄地が牧草地に変わります。太陽光と草、土、牛の循環の調和が出来上がり持続可能な牧草地となります。舎飼いに必要な機械が不要なため、化石燃料を使いません。もっとも、このことが私の手足、腰を苦しめたのですが。耕作放棄地を牧場にするプロジェクトは、自然環境の循環も、地方創生の循環もを生み出す素晴らしいものであり、最後の砦になるかもしれません(Day5・Day7)。

今回参加して、多くのことを学びました。鎌の使い方も分からない都会育ちに対して、嫌な顔ひとつせず丁寧に教えて頂いたことに感謝します。朝早く起きて眠い目を擦りながら、夜日が暮れるまで働き続けることは大変でしたが、世話人の方は毎日これを繰り返しています。生き物を相手にする職業に休みはありません。農家がいなければ、屠畜の問題点も、家畜による環境問題も解決に向かうでしょう。しかし、農家がいなければ私たちの命はありません。だから私たちはいただきます・ごちそうさまの気持ちを忘れずに、食べ物を残すことなく、命を分けて貰う心を持たなければなりません。そして、この経験を私だけのものに留めず、多くの人に伝えていかねばなりません。そこでやっとこの経験が活きると思います。