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食について考える

今日が最終日!

こうやって牛達が並んでご飯を食べている様子を見るのも最後かと思うと、何だか寂しくなりました。

たった4日間でもこんなに愛着が湧くのは、一頭一頭名前がつけられて、大切に育てられている牛達だからなのかなぁと思いました。

そのあとはロールの草を箱に詰めました。

何度もやってきた草を詰める作業。牛は毎日たくさんの草を食べます。私たちは牛を食べる、だから私たちは牛に餌を食べさせる。単純なことです。

だけどほとんどの人は牛を食べる部分しかしていません。こうやって毎日たくさんの草を刈って、あげている人がいることを私は知りませんでした。知っていたのかもしれないけど、本当の意味では知らなかった。

今の時代はほぼ皆が自給自足をしていた頃とは違って、農家は農家、会社員は会社員といったように、みんなが役割分担をしながら働いているから、私たちはいろいろなものの〝完成形”しか目にすることがありません。それは別に食べ物に限った話ではないですが、今回は食べ物に関していうと、今自分が食べているものがどこから来てどうやって作られたのかが見えにくくなってしまっています。何も知らずに高級な霜降り牛のステーキを食べている人、愛情を込めて毎日牛に餌をやっている人。どちらが偉いとか、そういうことではないけれど、前者がとりわけ多いのが今の世の中です。みんなが牛に餌をやれと言いたいのではなくて、そんな世の中だからこそ、せめてこうやって育てている人がいることくらいはみんな知っておかなければならないと思います。

また、食べるということは、今そこで生きている命を一ついただくということ。そして命である以上、それをなおざりにしてはならないし、自分のために命をいただくのだから、感謝の気持ちを忘れてはならない。

これもまた大切なことだと思います。

だけどこんなこと普通に生きていたら実感がわかないし、実際私もここに来るまであまり深くは考えたことがありませんでした。

だから今回、こんな山奥で牛たちの幸せを考えている人がいるということを知れたのは、私にとってすごく大きな発見でした。

そして昨日4頭の牛たちを放牧した牧場へ移動し、脱走していないか確認しました。

ちゃんと4頭全員いたのを確認できて安心しました。自然放牧に対する山地さんの思いもたくさん聞いて、本当に力になりたいと思って、私たちなりに頑張って立てた柵だったから、少しでも役に立ったのかなと思うと本当に嬉しかった!今後も脱走することなく、あの土地が再利用されていけばいいなと願うばかりです。

そのあと、豆腐屋さんに牛たちにあげるおからを取りに行きました。

そうやっていらないもの、不要になったものを生かすことはとてもすばらしいことで、みんなそれができたらいいけど、やはりそれには手間もかかるし、効率の観点で言ったら良くはないのだとも思います。

牛を放牧すること自体についてもそうで、牛舎で牛を飼い、カロリーの高い餌を与えておけば、もっと育てる負担は減るし、生産性も上がります。

だけど、それは何か牛の命を軽く見ていないか?牛=肉としてしか認識していないのではないか?結局肉になるのだからその過程はどうでもいいのか? 

そういうものだと思えば納得できなくはないけれど、何か違うとも思います。

私たち消費者がそういう現状を知り、牛たちにとっていい環境で育てられた牛たちのお肉を選ぶようにしていけば、牛などの家畜への扱いも変わっていかざるを得なくなるのではないかと思います。

だけどそれはすごく難しいことで、結局みんな安い方に惹かれてしまうから、それが牛への軽い扱いを助長してしまいます。牛を育てる人にも自分の生活があるから仕方のないことではあるのですが。

そんななかで、私にできることは何だろうと考えた時、少なくとも私は牛のことも考えて育てられた牛のお肉を選ぶこと、周りの人にこの経験を伝えること、それくらいしか思いつきませんでした。

考え方は人それぞれだから押し付けるようなことはできないし、もちろんいろいろな形があっていいとは思うけど、なんか、もう少しだけ、私たちが人間中心の考え方から離れられたらいいのかなと思いました。牛に限らず。

効率よりも再利用を優先する、生産性よりも牛の幸せを優先する、それは簡単なことではないというのは身をもって実感しました。それでもいつも牛たちへ愛情を持って接し、餌や土地も含め再利用していって、それが結果地域おこしにつながると考え、それを実践していこうとする山地さんの姿はすごく格好良くて、その生き方に憧れました。私もそういう格好いい大人になりたいです。

いろいろな人に出会い、いろいろなことを経験し、いろいろなことを知って、いろいろなことを考えたこの5日間は、かけがえのないものとなりました。

このような機会をくださった竜さん、かなさん、サポートしてくださった宮坂さん、みっちゃんファミリーやシェアハウスの方々、一緒に頑張ったお2人をはじめ、皆さん本当にありがとうございました!