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5月の田舎モン!【市川昭さん】-4

5月の田舎モン!【市川昭さん】

今月の田舎モン!

今月は、青年海外協力隊準備中の市川昭さんにお話をききました。

 

こんにちは、皆さんお元気ですか? 5月も間もなく終わり、そろそろ梅雨の季節がやってきますね。各地では田植えが終わったり、ちょうど始めたりの時期かと思います。

さて、このコーナーでは毎月1名ずつ、田舎で暮らしている人にフォーカスをあて、実際の田舎暮らしの「ホントの話」をうかがっていきます。毎回、色んな人に登場していただいていますが、それぞれにストーリーがあり、編集している自分も楽しみなコーナーになってきています。

5月の田舎モン! では現在、海外青年協力隊として研修中の市川昭さん(ニックネーム:えびぞうさん)にお話をうかがいました。市川さんからのお話は今週で最後なので、読者の皆さまへのメッセージをいただきました。

[symple_heading type=”h2″ title=”いずれ農業の時代がやってくる!” margin_top=”20px;” margin_bottom=”20px” text_align=”left”]

身の回りにあるちょっとした物を手にとって考えたとき、自分がどこの誰とも知らない人々が作った物に囲まれて、それらがどのように作られたか何一つ知らないことに気がつきます。

例えば、コーヒーを飲むとき、何気なくコーヒーに入れた砂糖が南米の貧しい少女がボロボロの手で収穫したサトウキビからできたものであったとしても、逆に情熱に燃えた青年がどこかの工場で丹精込めて煎ったコーヒーであったとしても、それを知らずに我々は往々にして無自覚に消費をするものです。

自分が世界の真実を何一つ知らず、多くの事を無自覚にして、のうのうと生きている人間であるとに気がついた時、私は何かとても虚しい気持ちになり、また、何も知らずに私は死んでいくのだろうかと考えました。

私は生きることのことの根源的な意味を知りたいと思い、生きる上で最も根源的な「食の生産」を知るべきだと思いました。「生きる意味」や「真実」を知るにために、私は自分で「農業をすること」を決心しました。

不幸な事に、農業という極めて人間の生存と生活に直結しているはずのものを、人々は何一つ知らずとも生きていけます。

スーパーに行けば食料が溢れ、食べるという行為を食料生産から始めるのではなく、買うことから始めるのが当然の時代にあって、飽食の中で食べるという行為の意味や重みも希薄になってしまいました。

食べ物に限らず、我々は生活に関わる様々な物の生産を他人に任せて、その対価として代金を支払っています。

便利な物を買ったり、お金を払ってサービスを受ければ、確かに何かの作業の手間は省けるし生活の質が向上するかもしれません。

ですが一方で、生きる上で必要な多くの作業や行為が省かれ希釈される事で、結果として私たちは生きるという行為の意味をも希薄にさせてしまったのではないかと私は思っています。

「農業をする事」によって、私は希釈された「生きる意味」をもう一度取り戻せるのではないかと思ったのですが、この選択は私にとっては大正解でした。

私は、農業をする中で、「生きる意味」を手に入れる事ができたと思っています。今、私の頭の中は「やりたい事だらけ」です。情熱をもってこれをやりたいと思えることがあることは幸福な事です。

私の夢は農業をしているという「誇り」と「喜び」を手に入れることです。

根源的な生に直結している農業に携われば、農業を生業として生きる「誇り」と「喜び」を手に入れられると思っていましたが、残念ながら今の農業の生産現場は非常に大変で、「誇り」や「喜び」は失われつつあります。

農業は隅に追いやられ、市場経済の苛烈な競争の中で疲弊し切っています。高齢化が進む地方の農村は、もはやお荷物扱いで、切り捨てられつつあります。

憤りを感じながら悶々としている頃に、偶然にもECOFFという団体と巡り会えたことは私にとって非常に幸運なことでした。

ECOFFの活動に参加する中で、私は農業をしている「誇り」や「喜び」をもう一度、再確認することができました。

これは私にとって非常に幸運なことであり、ECOFFの宮坂君と秋山さん、そして、これまで出会ったボランティアの学生達には本当に感謝しています。

日本人の原風景とも言える地方の農村が、もう一度、「誇り」や「喜び」を取り戻し、「農的幸福」が得られる場所にするにはECOFFのような活動が絶対に必要であるし、大いに期待しています。

私はベトナムに骨を埋めて農業をするつもりですが、ECOFFの活動を何らかの形で支えたいと考えています。

私が海外に行って農業指導をするというのは、聞こえは良いですが、結局のところ、日本で農業をすることに挫折し、日本の農業を見限ったというのは否めません。

私がECOFFの活動をこれからも支援しようと考えいるのは、恐らく、日本の農業を捨てる事への懺悔であるように思っています。

しかし、いずれ農業というものの重要性が本当に理解され、それが人々の幸福と直結するものとして認識される時が来ることを信じています。

日本が現在のような経済優先の物質主義的な発想から転換を始める時が来たら、私はまた日本に帰ってこようと思います。

ついでに、私のバイブルとも言える本を2冊紹介したいと思います。

辺見庸の「物食う人々」と、藤本敏夫の「農的幸福論」、この2冊の本で提起されている事は、まさに「食べることの意味」であり、「農業をすることの意味」であり、「生きることの意味」です。

興味のある方は読んでみて下さい。最後に、EOCFFの発展を異国の空から心より祈っています。

 

[symple_testimonial by=”宮坂大智”]

いかがでしたでしょうか? 昨今、農業や田舎暮らしに関心をもつ人が増えてきました。

私たちが働くのは、食べ物を得るため。だったら、その食べ物を自分でつくればいいのかも…。

これからは農業の時代だ!

[/symple_testimonial]

(文章:市川昭 / 編集:宮坂大智)

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