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小岩井農場訪問

6日目の今日は、一日観光の時間を設けていただき、盛岡駅から小岩井農場へ訪問しました。

バスで三十分ほど移動し、農場に到着。門を越えると、視界の端まで広がる広大な草原。明治24年、1891年に開設した農場の土地なだけあり、さすがの空間の広さに圧倒されました。着いたのが昼前ということもあり、入口傍にあったレストラン、小岩井ファームキッチンによって行き、各々ピザ等を食べ腹ごしらえ。さすが農場、乳製品の質がとても良く、ここで飲んだマンゴーラッシーはしっかりとした後味を残しながらもスッキリした味わいで、とても美味しかったです。

途中途中、アイスに熱心なメンバーの一人の意向もあって、ソフトクリームを行く先々で買い食いしていきました。

ひつじが放牧されているエリアに着くと、広々とした放牧地の端で、羊達が木の陰に集まって息を切らしながら暑そうにしていました。今年の岩手は例年よりかなり暑いそうで、その暑さの実態を目の当たりにした気分でした。

ひつじエリアに沿って移動すると、馬達を飼育している小岩井ホースパークのエリアへ到着。ジオファームで暮らす馬達とは違い、人と接するのに適した小柄な馬達が飼育されていました。彼らの紹介のパネルの隣に、種牝馬のシアンモア号の写真のパネルがありました。

ここ小岩井農場はかつて太平洋戦争が起こるまで、数々の競走馬を産出していたようで、1941年にはこの農場出身のセントライト号が日本で史上初の3冠を達成しました。10年ほど前の1933年にはシアンモア号を父に持つカブトヤマ号が日本ダービーを勝ち取り、そして10戦10勝の2冠馬、幻の馬、トキノミノルは小岩井農場で産まれた第弐タイランツクヰーンの孫にあたります。当時小岩井農場出身の種牝馬・競走馬たちが競馬界で大活躍していたそうです。

最近競馬を知った1個人として、あのセントライトやトキノミノルが、この小岩井農場と強く関係があることや、そのかつての現場に来れたことにとても感動しました。それと同時に、古くから農業だけでなく競馬界にも影響を与えていた小岩井農場の存在の大きさや貫禄を思い知り、この農場がかつての農業業界の先陣を行っていたことを実感しました。

ホースパークの次に訪れたのは、上丸牛舎群。

明治末期あたりから建てられてきた数多くの牛舎やサイロが現存しており、それぞれが重い年季を感じさせます。

中でも牛舎の機能は顕在で、たくさんの牛を中で飼育しており、施設の時間が止まっているかのように、かつての形・機能を保ったまま現存していました。

かつて使われてきた畜舎群を見ていきながら、小岩井農場資料館によって行き、この農場の歴史を見ていきました。

この農場は創業当時、かつての日本鉄道会社副社長、小野義

眞と、三菱第二代社長の岩崎彌之助、鉄道庁長官であり鉄道の父と呼ばれている井上勝の3人が、地方への鉄道開通と、食料増産のため創業したそうです。農場を開いて国力のもととなる食料を作り、それを鉄道の開通で人々に繋げていきました。

この他にも、宮沢賢治と小岩井農場の出会いのことについて書かれた解説を見ました。

宮沢賢治は中学2年の頃に、岩手山登山の帰りに寄って以来、何度も農場に訪れ、農場についての詩作を591行も書いていったそうです。

これらの事を見て、僕は何かを得るために必要なのは、なにかの繋がりだと、改めて実感しました。

作った食料は地方や人々の居る場所に繋がる鉄道によって届けられ、人の新たな出会いや経験、知見はなにかのきっかけによって両者が繋げられ、得られていく。

うまく書き表せませんが、形は違えど、繋がりというものがあって初めて何かを得られる、という、当たり前の事を、今までより確かな形として目の当たりにしたような感覚が沸き起こりました。

それにより、このボランティアに参加したことにも、しっかりと大きな意味や価値が最初からあったんだという事を改めて実感しました。

正に、人生の醍醐味は外にある、という事を強く実感しました。

そして、この活動に参加させてくれた、繋げてくれた宮坂さん、船橋さんに強く感謝の念が湧きました。

大きく感慨にふけた後、再び小岩井ファームキッチンに向かい、ミルク味のジェラートを口にしました。

冷たい口触りに優しい味わいの牛乳の味がとても美味でした。

その後は小岩井農場のお土産を吟味した後、バスで盛岡駅まで帰還し、盛楼閣にて、辛味のある冷麺を堪能しました。透明感のある太い麺に、赤く辛い汁が効いており、とても良い口ごたえでした。帰りは花輪線に乗って大更駅まで帰り、農場へは船橋さんの車で送ってもらいました。

観光だけでなく、岩手に築かれてきた長い農業の歴史を体感できた有意義な機会となりました。明日からまた朝早くの作業が始まります。

せっかく得た繋がり。

絶対に無駄にしないよう、その一瞬一瞬に得る経験を握りしめ、自分の一部としていこうと思います。