最終日。少し早めにゲストハウスを出発し、ワイナリーに向かいました。車中では、既に気持ちが高ぶっていました。どうやら、今はぶどうの収穫時期で、ワインの仕込みに忙しいらしい。どんなお手伝いができるのかと、わくわくしていました。
ワイナリーに着くと、ぶどうの香りと、発酵したような香りがしました。生産者の菅川さんにお会いし、すぐに作業の始まりです。
ミッションは、4tのぶどうを、枝と実を選別する機械に投入すること。一生でこんなにぶどうを見ることはない、と思うくらい大量のカゴに収められたぶどうたち。
これも奥尻島で育てられたもので、海風にあたってミネラルが付着しているようです。皆で協力して機械に投入していきました。
この4tのぶどうが、来夏には約4000本のワインになるようです。本当に本当にほんの一部だけど、関われたことがとっても嬉しいものです。
菅川さんはワインについて専門知識などない中、独学で学び、工場の立ち上げから行ったそうです。
今では、菅川さんのいう「きれいなワイン」――奥尻の水のなめらかさ、雑味がなく、奥尻の自然を思い起こさせる澄んだワイン――を頂くことができます。
島でのぶどう栽培は、大きなリスクを伴うこと。それでも100%奥尻島育ちにこだわり、相当な覚悟をもってここまで取り組まれきたのだと思います。
若手は島から出ていき、島の中では後継者不足の問題があります。島の未来について楽観できない状況の中、菅川さんの想いに希望を感じました。
今回、島でお会いした方々は、「自分が楽しみながら、自分のために行動している」と口を揃えて言っていました。それが、結果として他人のためになる、島の未来につながる。そうした姿勢に大きな学びを得ました。