📣 ECOFFは地域と参加者の安全のために、感染症についての対策および方針を定めています。詳しくはこちら

イマココから(旅中最終日)

ECOFFで定められた活動は昨日が最終日でした。しかし、焼尻島でのホタテ漁は今年が最後です。私たちは昨日予定していたホタテ漁が中止になったので、追加で1日滞在していました。昨日は中止の連絡でしたが、今日は「ホタテ漁ができる」と連絡をいただき、嬉しい思いで朝を迎えました。

ホタテ漁は体力が必要な作業でした。メンバー1人は自分より大きなカゴを並べて、開けての繰り返しでした。私はおよそ25kgのカゴを積む作業を手伝いました。ホタテを傷つけまいと漁師さんが丁寧に作業している姿に心を撃たれ、慎重さを意識してかつ迅速な作業を心がけて手伝うことができました。

漁師さんが作業の途中に一隻の船を指差し「あれ見てごらん、家族でやってんだよ。」と言いました。それは高齢の夫婦がイカの水揚げをしている姿でした。2人は協力し合い取ったイカを上げて、袋詰めして、車に乗せていました。腰はほぼ直角に曲がっていましたが、時間をかけて丁寧に作業を進めていました。「焼尻島は高齢化が進み、後継者がいなく、漁を守るために高齢のお年寄りが作業に参加せざるを得ない。」と伝えられました。私は漁師という仕事に親近感がなく、今までの学生生活で職業にしようと考えたことがありませんでした。世話人さんの話を聞くと、家族が漁師でないと漁師社会に入るのが難しく、親方に「手伝いたい」と言っても「手伝えることはない」と言われ、なかなか漁をさせてもらえなかったと話していました。他の漁師さんも「教えるのに慣れてないから、いきなり手伝いたいと言われても何をさせれば良いかわからないし、よその人に教えるのも慣れていない」と言っていました。家族が漁師の家系でないと、仕事に就くことも難しく、漁師になるきっかけを作るのも難しいと感じました。

今の焼尻島では「漁師を増やす取り組み」があまりなく、高齢化により、減る要素しかないと感じました。漁師の仕事を受け継ぐ取り組みと、漁師の魅力(給料はとても高く、生活には全く困らない)を発信する必要があると感じました。デジタルトランスフォーメーション(DX)が進む現在、ITを活用して従来の仕事スタイルを変えようとする取り組みが進んでいます。漁業においても、仕事の手順に関する教材を作り、公開して受け入れ体制を作るなどできるとはあると思います。今ここからできる取り組みとして、私はITを活用した町おこしを考えていきます。

私は同じ活動をした2人のメンバーには共通して「今の恵まれた状況をどうにかして変えたい!」との思いが伝わってきました。このまま町おこしを考えなくても2人は周りの人が羨むポジションに居続けられます。しかし、2人の地域を愛する思いが行動に出て、私は2人が将来地域と密に関わる方法を模索しているように見えました。活動の隙間時間に世話人さんと熱い議論をしている姿をよく見かけました。2人は自分なりの町おこしが具体的に定まってきていると感じました。2人は行動力があるので、町おこしは今回の活動からスタートさせるわけではありませんが、今ここから、新しい考えをもとに行動に移していると思います。

今回の活動ではホタテ漁について、今年で最後だと伝えました。しかし、焼尻島にある羊牧場も存続の危機に瀕しています。現在たった1人の従業員で大きな牧場と多くの羊の管理をしています。従業員さんはもう今年で焼尻島の牧場を離れる決断をしたそうです。町は「牧場の存続は難しい」と感じ、求人もあまり積極的に出していないそうです。「焼尻島で羊が見えなくなる。」この現実はもうすぐそこまできており、私たちは、私たちにとって最後の羊を見たのかもしれません。しかし、世話人さん含め「羊牧場をなくしたくない!」と思っている人は一定数います。世話人さんも、活動を通して伝えた私たちの考えをもとに何ができるか模索していると思います。世話人さんも私たちとの活動を終えた今ここから、新たなアイデアを共により焼尻島に浸透した島おこしを考えています。

余談ですが、私は前回の世話人さんに「die with zero」という本を紹介され、熟読しました。内容は「今できる”経験”に最大限投資して、どの年齢で死んでも後悔しないようにお金を使う」です。私はもう1日宿泊するために、宿泊施設や交通手段のキャンセルで自分にとっては安くないキャンセル料金がかかっていました。しかし、この本の内容を思い出し、全く負担に感じなかったことが残りの活動を充実させたと思います。最後、清算で「もう一日いてくれてありがとう、滞在費はいらないよ!」と言われた時、少し泣きそうになりました。今年のゴールデンウィークは天候不良で船がなかなか出ず、多くのお客さんからキャンセルの連額が来ており、ため息をつく姿を見ました。活動中の食材に特にこだわっていて、全ての料理を1から作り、材料は極力国産を使用する。料理含め活動に一切手を抜かず向き合う姿から「経験に強い焦点を当てている」ことが感じられました。活動は内容的に暗い話しが8割、歓迎要素が少なく、町にも活動にも希望がもて辛く「本当に町おこしって必要なの?」と感じました。しかし、最後に「少しだけではあるが島の子供の数が数年前と比べて増えている。」と話していました。活動と現状を含めて、焼尻島の問題だけでなく、同じ状況に瀕している地域の活性化を託されたと感じました。ECOFFの活動は「旅前、旅中、旅後」がセットになっています。前回の旅後の活動が生かされた私は、今回の活動で旅後をより充実したもとにできる自信があります。旅中の活動を終えた私たちは、今ここから旅後の活動が始まります!